コラム

Column

2020/12/06 日々のこと

奥能登の伝統的神事「あえのこと」

昨日、12月5日は、奥能登で古くから伝わる農耕儀礼、「あえのこと」を執り行う日でした。

「あえのこと」は、年に2回、12月5日と2月9日に行われるのが一般的です。
昨日、12月5日は、田の神様に今年一年の豊作を感謝し、おもてなしをする日です。一方、2月9日は、その年1年の五穀豊穣を祈念する日となっています。

田の神様は、暗い田んぼの地面の中にいる夫婦の神様とされ、存在する環境から、目が見えないとされています(諸説あり)。

12月の「あえのこと」では、まず、田んぼへ行って、田の神様をお迎えに行きます。

その後、自宅に神様をお招きし、おもてなしをします。
この「あえのこと」の特徴は、あたかも目の前に神様が実在しているかのように立ち居振舞うということ。目が見えない神様ですから、手を引いたり、説明をしたりもします。実際に声に出したり行動で示したりしながらです。

自宅にお招きした後は、お風呂に入ってもらったり、御馳走を召し上がっていただいたりします。もちろん、お風呂場に連れて行ったり、背中を流したりもします!

御馳走でおもてなしをするときも、「ここにあるのは〇〇で…」なんて、説明をしながら、田の神様に喜んでいただけるよう、精一杯のおもてなしをします。

この後、寒い冬の間、田の神様には自宅でゆっくり過ごしていただき、翌年2月9日には、その年の五穀豊穣を祈念し、田の神様はまた田んぼへと戻っていきます。

この「あえのこと」は、古くから奥能登の農家が、それぞれの自宅で行っている風習です。ですので、やり方に決まりはなく、それぞれの家で違うことが多々あるようです。親から子へと受け継がれている風習ですが、農業の担い手が減少している今、この風習の存続にも危機感を覚えています。
かく言う私も、元々祖父母とは離れて暮らしていたこともあり、祖父母がどのようにやっていたのかは全く知りません。あくまでも調べた知識のみでやっているのが現状です(;^ω^)

ただ、「神様に感謝をする」というのが「あえのこと」の本質だと思っています。この気持ちを忘れずに、自分にできる精一杯のことを、これからも続けていきたいなと思っています!この「あえのこと」も含め、祭事、神事なども含めての「世界農業遺産」ですから!